, 特集 火花 | 又吉 直樹 ★★★☆☆

主人公の徳永は、売れない若手芸人です。熱海のお笑いステージで、徳永は先輩芸人の神谷と出会います。神谷は、徳永に「俺の伝記を書け」と言い、徳永は神谷の弟子になることを決意します。徳永は神谷から、漫才の技術だけでなく、生きることの哲学も教わります。そして、徳永は神谷から、笑いの本質とは何かを学びます。火花は、お笑いの世界を舞台に、師弟の愛と葛藤を描いた物語。

各笑に対する答えを暗中模索しながら、 1人進んでいく孤独。努力をしてもたどり着けない生まれ持っての才能。すれ違う人々。大切な人との別れ、尊敬する人との衝突が詰まっています。

特に解散ライブ、破滅へと向かいそうになる神谷の流れは読んでいるものをグイグイと引き込んでいく迫力がありました。

物語は、中盤までは、お笑い業界の中で独特にある空気感を感じて、とても新鮮で、人間関係が濃密な潤文学として読めていました。しかし 徳永が失踪、再会してからのシーンで、いきなりぎょっとするような展開が始まり、これは笑っていいのか、今までの物語を崩壊させようとしているのか、ちょっと混乱するような出来事が起こります。いいのかあれで!パンクです。破壊です。

ただし壊れすぎない程度におさめてはいるので、なんとか読後感は心地の良いものになっています。文章が美しいです。


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