, 特集 自殺されちゃった僕 吉永 嘉明 ★

出された時代も古いし、既に自殺してしまった人たちを偲ぶようなセンチメンタルな文章がただただ続くようなそんな話です。

自殺したのは巽早紀、ねこじる、青山正明。

死んでいった人たちはとてもカリスマ性があった人たちで、その人の人となりを知りたい人にとっては読んでみると面白いとおもいます。ただそれだけの本です。

自分は静岡県にあるまぼろし博覧会の館長について興味があり、探しているうちに青山と言う編集者がとても天才的だと言うことを聞いて、 その人のことが書かれているこの本を手に取りました。

まぼろし博覧会

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%81%BC%E3%82%8D%E3%81%97%E5%8D%9A%E8%A6%A7%E4%BC%9A

ねこじるに関しては、存命当時から何冊か単行本を 購入するていどの読者でした。 特別熱狂的では無いですが、サブカル界隈ではやはりとても影響力のあった名前なので、とりあえず買ってみたと言う程度で読んでいました。

巽早紀さんについては全く知らず。ただ勤務していたペヨトル工房の名前だけ知っていました。これもまぼろし博覧会に展示している村崎百郎の努めていた会社だということで知っ

自分はこの人たちが自殺してしまった当時16歳位で、精神的にとても追い詰められていて、何度も自殺を考えていた時代でした。

移り気な思春期の時代にオウム真理教や阪神大震災、エヴァンゲリオンのブームがあり、とにかく世の中は暗くて狂っていなければ生きていけない、今も未来も 絶望したような心持ちで日々を過ごしていました。

自分だけではなく、世の中は何かそういった空気で溢れていたのかもしれません。その中に生まれたのが危ない。1号と呼ばれる先ほど話した青山さんが編集した ドラッグや死体写真などが掲載されている鬼畜系の雑誌です。自分が読んだ事はありませんけどね。 どうやらこの雑誌は自分が思っている以上に世の中に影響与えていたらしくて、酒鬼薔薇聖斗も愛読していたそうです。

3人は皆レイブパーティーが好きでした。電子音楽の中で身を委ね、薬物を摂取して心を解放していく。そうすることでこのドロドロとした先行きの見えない世の中でも何とかやり過ごして生きていけるんじゃないのかそう思ってみんなパーティーに興じていたようです。

ねこぢる

押しかけ女房のように山野一さんのもとにやってきた彼女のかいた漫画の多くは山野一さんの手が入ってました。

彼女はとても世界に対しての不満や恐怖を覚えており、自分を守るために攻撃的になることがありました。ペットに対しても虐待かしつけかわからないくらいのことを行い、山野一さんにもカッターで斬りつけるなどをしていたようです。二人の間には、行き過ぎた共依存があり、一緒にいればいるほど危うく、そのまま崩壊していったような雰囲気に満ちていたようです。

そもそもガロ系の作家が、東電からキャラクターを発注され、コンビニの漫画コーナーに置かれるくらい売れっ子になってしまう世の中も、少しおかしかったです。死と狂気が隠されてもおらず、むき出しになった作品なんですもの。この頃は自殺者が三万人を超えていたとか話題になってもいましたね。みんながぼんやりと、死を身近にイメージしていたような時代でした。

青山正明

この方は、勉強をしなくても勉強がてきる地頭の良さを持った人で、それが趣味に傾倒していきドロップ・アウトしてしまった中島らものような方です。最後は愛する母親の元緩やかな死を遂げていったトキワ荘寺さん的でもあります。ドラッグは良くないです。この書籍に出てくる人、みなドラッグにまみれています。個性を大切にする教育のもと、バブルの残り香を味わい、ドラッグと音楽の波に飲まれ、頭がおかしくなって死んでいきました。多くの人は生きるのが辛いからドラッグをやります。浮世から一瞬でも逃げたくてやってしまうものです。

感情感覚を以上に高ぶらせるその体験は日常に戻ったときに歪みが現れるのでしょう。おそろしい。

自分はタバコというドラッグに本当に苦しめられています。呼吸が浅くなり、ただでさえ少ない収入なのにタバコ代で月2万円 も飛んでいってしまいます。なんとか今は禁煙していますが、少しでも気持ちが落ちた日などは、吸ってしまいたくなります。

お酒もダラダラ飲んで、夜の時間を浪費しています。嫌なことがあった日などは、一人でとことんまで飲んでしまい、翌日は重い頭を抱えてずっと横になって折角の休日をないものとしてしまいます。

パンクの町田康はどちらも止めて、「なんでもっと早くに止めなかったんだろう」と悔やんでいます。

朝の空気を吸って季節の移ろいを感じ、山に登り風の音を聞く事で人々はイメージと生きる実感を得てきました。陽の光を浴びないと、人々は萎えて死んでいくのです。

まぼろし博覧会で読み始めた本書ですが、自分の人生とはあまり重なるところはなかったので、感じるところはありませんでした。ただただ、酷く浮かれた繊細で自由に振る舞っているけれど、不自由で、たいへんな人々なんだなって思ってしまいました。

作者は現在音信不通。あれだけ友達に恵まれていたのに、一切の人脈を断って、新しい人生をクリエイトしているのでしょうか。

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